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2023.01.14

スタッフブログ

グローバルな社会が生み出す街並み

輪和建設、大工の國分です。

 

最近は「名建築は体験が9割」という本を読んでいます。

表紙からは簡単そうな印象を受けるのですが、読んでみると建築家独特の哲学的で芸術的な表現、というか難解な表現が多々出てきてとても読みづらいです。笑

 

それでも読んでいると成る程!確かに!と思わされる事が多々あり、面白いです。

 

本書では人の暮らしのある空間はすべて内部空間として考え、経験されなければならないと書かれています。

 

例えば家を建てる際に、その家の中に視点をおくだけでなく、敷地前の道路に、広場に、向かいの家などにも視点をおくべき。つまりは一般的な内部空間として考えられる家の中のインテリアと同じ感覚で、その家が周りの風景に与える影響などを考え、重要性を持つべきということです。

私なりの解釈で一言で言うと街並みも自分の部屋だと思えってことですね。

 

しかし、現在建てられる家の多くは、各メーカーがお客様の要望を叶えようと、無闇矢鱈にやれヨーロッパ風だのアメリカ風だのやっており、街並みは無茶苦茶。浅はかでカオスです。

 

本書ではさらに、様々なデザインの家がどこでも意のままに建てれてしまう現状を憂いており、それらをグローバルなライフスタイルを収めることを意識した建築、土地の歴史や文化などの文脈から切り離された建築、などと表現しています。

「どこにでも建てられるかもしれないが、文字通りどこでもない場所になる。」

という一文には胸が締め付けられるような感覚を覚えました。

 

日本から美しい街並みか消えゆく原因がここにあるように感じます。

 

既定された工事手法、土地の特性に合わない平面計画、土地本来の木々を伐採し作られる土着のものでない装飾的な造景、そして、その土地のものではないどこでも手に入る既成材料と組み立てシステム。

失われていくヴァナキュラー(土着性)。

 

建築においても何においても、グローバルな社会というのは、どこでもなんでもでき、とても便利で素晴らしい一方で、本当に美しい大切な何かが失われていくような寂しさを覚えます。

 

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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