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2023.01.13

スタッフブログ

一筋縄ではいかない刃物砥ぎ

こんにちは!

中島です。

 

リフォーム工事をしていると刃物が傷みやすいです。

砂や埃っぽい部分の加工をしたり、既存部分との取り合いの部分では釘などの金物付近を触らないといけなかったりなど、刃こぼれをよく起こします。

今日もベテランの大工さんが、「えらい虫歯なってもーたわ!ハッハッハーッ!」と笑っていましたが、欠けてしまうと砥ぎ直すのにもかなり時間がかかるので、笑いながらも心は泣いています。笑

 

そのベテラン大工さんはハイス鑿という普通の鑿とは少し違うものをリフォームでは使っているようで、ハイス鑿は高速度工具鋼(High-speed-steel)を用いた鑿で、摩擦熱で高温になっても焼き戻りしないのが特徴です。ですので、刃こぼれが起きてもグラインダーで欠けを手早く落とす事が可能です。

 

一般的な鑿に使われる白紙鋼や青紙鋼は高温になると鋼の性質が変わり、所謂「なまくら」の状態になってしまい、使い物になりません。水に浸けて冷やしながらグラインダーを掛ければ問題はないという意見もありますが、鑿鍛冶の人が言うに、好ましくはないようです。「本来の切れ味を活かしたいのであればしないでください」と。

 

僕が腰に差しているのみはハイス鑿ではないので、欠けは手砥ぎで落とします。

見ての通りガタガタです。笑

粗砥石で地道に落としていきます。

これがなかなか根氣のいる作業で、今回は研ぎ上げるのに1時間弱かかりました。笑

仕上がったのはこちら

この前裏押ししたのにまた押さないと……

切れる刃はつけられるようになってきましたが、砥ぎはまだまだ未熟で、鎬面は完全な平面とは言い切れません。

 

鑿と砥石の平面同士が真空状態になって、

砥石が持ち上げられるようになってみたいものです。

 

地道に続けていきます。

 


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