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2022.12.21

古民家ブログ

社長ブログ

築100年以上の家 古民家のいいところを生かして快適な住まいを

リフォーム工事というと数年前までは古くなった設備の取替や

クロスの貼替といった模様替えのような工事が多かったですが、

ここ数年は築100年を超えるような家、いわゆる古民家のリフォ

ームが増えてきました。

既存住宅の有効活用ですが昔の家を見直そうと考える人が増えて

きたとも言えます。

古民家は現代の家と違って流し台やトイレ、浴室などの設備機器を

除けば工業製品はほとんど使われていません。

構造材や内装材は自然の木がそのまま使われていますし、壁も土壁

に左官仕上げ、外壁は板貼りなどで地産地消の建物です。

 

古民家のリフォームは設備機器の入れ替えや改装以外に断熱や耐震

を考えたリフォームになることが多いです。

やっぱり地震が心配、冬の寒さがつらいと思っている人が多いです。

地震、これは起きるかどうかわからないことですが、近年これだけ

各地で起きると不安はあります。

 

古民家と言われる家は造り自体が現代の家とは違います。

現代の家は建築基準法に基づいた在来工法と言われる家ですが

これは1950年に定められたものでそれ以前の家はこの法律に基づい

ていない伝統工法と言われる構造の家です。

在来工法、現代の家は基礎と合板や筋違で頑丈にして地震に耐える

家ですが、伝統工法の家はある程度揺れることでエネルギーを逃が

すような造りになっています。

耐震の方法としては現代の家のように固めるか、伝統工法の特色を

生かして補強するかになります。

当社では純粋に伝統工法であればその工法を生かして補強すること

にしています。

特殊な計算方法(限界耐力計算)を使うことになりますが、大掛かり

な基礎工事の必要がなく比較的補強の壁も少なく済みます。

 

断熱はどこまで性能を上げるかですが、開口部(サッシ)を断熱性の

高いサッシに取り換えるのが一番効果的です。

ここが一番熱の出入りが大きいですから。

次に床下及び天井(屋根)の断熱です。

床下からの冷気を防ぎ、天井に逃げる熱を抑える、または夏の日射

を遮る方法ですが、残る壁の部分を土壁のままにしておくかどうか

が迷うところです。

外壁に面する壁を大壁にするだけでも気密・断熱性は良くなります

が、外断熱という方法もあります。

しかし外断熱は施工費がかさみます。

何より古民家と言われる家はどの家も大きいですから。

 

昨今、土壁を見直そうとしている工務店もあります。

土壁はそれ自体、合板のような初期強度はありませんが

限界耐力計算ではある程度の耐力を見込むことができます。

これは合板のような床から天井まである壁だけでなく、

小壁、垂れ壁も含まれます。

そしてよく言われるのが蓄熱性と調湿性です。

調湿性は土の塊ですから当然あります。

そして蓄熱性ですが、よく言えば夏は夜間の冷気をため込

んで室温の上昇を防ぎ、冬は室内の暖房の熱を保ってくれる

ということです。

しかし、近年の夏の日射はかなり強く夜間の冷気くらいでは

冷めてくれません。

また暖房の熱もかなりの熱を加えないと蓄熱はしてくれません。

薪ストーブはかなりの輻射熱を出すので土壁の家と相性がいい

と言われます。

古民家はよく考えられた家だと思いますが、生活様式の変化は

どうにもなりません。

断熱を重視して木製建具を現代の樹脂サッシに変えれば外観は

古民家らしさはなくなります。

場合によっては耐震重視で瓦を葺き替えることもあります。

屋根の軽量化は耐震上大変有利ですから。

それから家の中の段差。

現代のようなバリアフリー化はできないこともあります。

通り土間や昔の台所は土間を基準に造っていますから梁は低い

位置にあります。

「取ってほしい」「上に上げてほしい」という要望はいつもあり

ます。

しかしこれは大事な構造材です。

取替て同じ仕口で組み立てることはできません。

通しほぞと言って柱を貫通して取り付けられていることが多いです。

またその上にある壁も大事な構造の一部です。

どこかで折り合いをつけて古民家の良さを残しながら快適な住まい

にできれば良い住まいになります。

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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