HOME  >  ブログ  >  木殺しは半殺しが要 | 殺しさじ加減が良い仕事の鍵 | 奈良の木の家工務店、輪和建設

2023.09.24

家づくりのこと

スタッフブログ

現場から

木殺しは半殺しが要

こんにちは!

中島です。

 

大工がよく使う技術の中に「木殺し」と呼ばれるものがあります。

 

いいイメージが湧かない恐ろしい呼び名ですが、大工仕事では本当によく使います。

 

「木殺し」を一言で言うと、木を金槌で叩く事を指します。大工が釘などを打っている様子がないのにただ木を叩いているところを目にしたら、それは木殺しをしています。

 

木殺しの目的は木の繊維を圧縮することです。

 

木を金槌で叩く事により、木は圧縮されます。

ですがその圧縮は一時的なもので、水分を与えてやるとまた膨らみます。この性質を利用し、大工は胴付の仕事をしていきます。

 

少し前、親方と休憩中に木殺しの話題になりました。

その時親方は「木殺しにも色々あるからな」と言われていました。「色々ってなんですか?」と聞きましたが、詳しくは教えてくれませんでした。

 

 

この造作家具を作る際は木殺しを多用しました。

木殺しの最中、この前の休憩中の事を思い出し、色々観察しながら木殺しをしてみました。

僕が今まで意識してきた事はといえば、「半殺し」にとどめる事です。叩きすぎて木の繊維を切ってしまうと、それは本当に木を殺してしまった事になり、水を当てても膨らみません。そうなると隙間のない仕事は難しくなります。この殺し具合は樹種によって異なり、「その木に合わせて木殺しをする」ことを意識してきました。

この家具の大部分は杉です。

杉は柔らかく、木殺しで縮みやすい樹種ですが、柔らかい分繊維も切れやすいので加減が重要です。

細かく観察していると夏目と冬目で縮み方が違います。冬目は硬く、夏目は柔らかいので当たり前ですが、同じ冬目でも板目と柾目で差がありました。後の膨らみ方にも差がありましたし、繊維の方向でいろんな性質があると感じました。親方が言われていた「木殺しにも色々ある」は本当にまだまだ色々あるんだろうなと思いました。

仕口は大入れにし、25mmの板を24mmの溝に入れ込んで組み立てています。この加減が難しいところですが、今回は概ねうまくいったと思います。天板は桧の矧ぎ板で反りも大きく出ていましたが、良いかたさ加減で納めれたと思うので、今後の反りも抑えられると思います。

 

はじめての造作家具は本当に学びが多かったです。普段何氣なくしていることでも細かく見ていくと奥が深いです。

親方のしている仕事をよく見るようにしていましたが、やはり見ただけでは本質は掴めず、実際にやってみないとわからないことばかりです。

日々試行錯誤しながら大工仕事を磨いていきたいと思います。

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
奈良・大阪・京都他で注文住宅の新築、リフォーム、古民家再生、古民家リフォームの施工事例はこちら↓

施工事例を見る