2023.08.29
家づくりのこと
スタッフブログ
現場から
はじめての丸、新しい丸
こんにちは!
中島です。
香芝市の新築工事は現在、仕上げ工事が進んでいます。
先日、玄関の庇の仕事を親方と一緒に行いました。
庇の柱はしぼり丸太と言われる丸太を使う事になりました。お施主さんのお父さんがしぼり丸太で有名な京都の北山杉を香芝の土地で育てたものらしく、倉庫で眠っているものを使って欲しいとの事でした。
思い入れがあるものを使って家をつくるっていいものだな〜なんて考えながら、丸太仕事をするなら準備をしなくては!と新たな道具を調達しました。
外丸鑿といわれる鑿です。
裏が丸く、刃先も丸くなっています。
通常の鑿では加工の難しい窪んだアール部分を切ることができます。
10本組を買うか迷いましたが、5本でも十分でした。それでもいい値はしたのでお財布がさみしい……
刃物は買ってもすぐには使えないので、朝や休憩時間を使い急ぎで仕込みをし、間に合わせる事ができました。
なぜ丸鑿が必要かというと、今回の丸太仕事では「ひかりつけ」と呼ばれる作業を行いました。柱の足元に石を据えるのですが、平面ではない石なので、その石の癖、凹凸を拾って丸太を加工します。
こういった加工をする際、通常の鑿では加工が難しく、今回準備した外丸鑿が活躍します。
石へのひかりつけは一度経験してみたい仕事でした。
伝統工法と呼ばれる日本古来の工法では「石場建て」と呼ばれる石の上に束を立てる工法があります。天端を平面にした石を用いる事が多いようですが、古い建物だと凹凸のある自然石にひかりつけて使ってあったり、石を据えるのではなく、元からそこにあったであろう石に束を立ててあるものも見受けられます。
ピタッとはまった瞬間はさぞ氣持ちが良いんだろうなと思っていましたが、実際にやってみると一朝一夕ではいきませんでした。笑
這いつくばいならがら、柱のまわりを何度も何度もぐるぐるまわり、擦り合わせていく作業の連続で、半日くらいひたすらに同じ事を繰り返しいると、石と柱は擦り合わさっていきますが、かわりに心と膝が擦り減っていきます。笑
2本終わった時にはピタッとハマった快感よりやっと終わった……!!!と安堵の氣持ちのほうが強かったです。笑
丸太を触ってみて思ったのは、角物の何倍もかかるという事です。
親方がされていた、しぼり丸太の床柱となると、そこに敷居、鴨居、建具、床框、落としがけ、廻り縁、今回はなかったですが長押まで絡んでくるなんて今ではどう納めるのか全くイメージがつきません。笑
丸太仕事の機会を与えてくださったお施主さんや、任せてくれた親方にはほんとうに感謝です。
与えられた機会に感謝し、大切にしながら、一歩ずつ大工修行を進んで行きたいと思います。
「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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