古民家再生店舗 カフェ・工房として蘇った古民家 奈良市
できるだけそのままに
太くて立派な梁や柱が見える石場建、和瓦葺の古民家は、少し前まで実際に住まわれていたお家ですが、隣に新しく家を建てたことから空き家になっていました。住まわなくなった家は老朽化がすすみます。床が傾き、畳も朽ちているところがありました。
お客様からのご要望は、「できるだけそのままに」。今のままの雰囲気を引き継いでカフェを隣接させたお菓子と器の工房として活き返らせたいとのことでした。
解体をして家の骨組みが見えてきました。床の傾きの原因は、根本が腐ってしまった柱によるものだったため、これを修繕して、もとの高さにぐっと家を引き上げました。土が載っていた重い瓦を拭き替えて桟瓦葺きにすることで、耐震にも有利になりました。小動物の進入をふせぐために板でふさがれていた床下は、網を設置することで風通しをよくしました。これらの工事は、今後も長くこの建物が活かされるために必要なメンテナンスです。
カフェ・工房として蘇る
施工前 施工後
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痛んでいた床の間の奥の壁のみ塗り替えました。シロアリの被害を受けていた畳は取り替え、違い棚の襖を貼替えました。柱が落ちていたため傾いていた床をまっすぐに補正しました。
施工前 施工後
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昔の台所と居間の間に設けられた煙返しは古民家にはよく見られますが、高さが低いので下をくぐる動線を考える際には注意が必要です。お客様が土足に履き替えなくてもトイレにいけるように、また、厨房からも土足に履き替えることなく客席と行き来ができるように、新設したトイレへと続く土間には、梁の高さに配慮して床を新たにつくりました。
施工前 施工後
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玄関はほぼ手を加えることはなく、そのままの雰囲気を引き継いでいますが、和風の照明がはいると古民家の雰囲気が引き立ちます。建具のレールを取り替えて今の建具が使えるように修理するなど、今をつなげるための工事が施されました。
耐震に配慮して壁を一部つくったところは幅がかわってもとの建具(襖や障子)が入らなくなった場所があります。また、厨房の建具としてもとある障子は衛生上使えませんでした。そういった建具は、「できるだけそのままに」というお客様の思いをくみ取り、もとある建具の配置を入れ替える工夫で対応しました。
集いの場・創作の場に
細やかな模様が施されたトイレの手洗い鉢や器たちはお客様の作品です。この家で代々使われてきた水屋箪笥を作品の飾り棚として活かして展示しています。古民家の雰囲気を楽しみながら、お客様がゆっくりとした時をすごすカフェとして、また新しい作品を生み出す創作の場として、お住まいだった古民家が新しい役割を担って、生まれ変わりました。
現地|奈良県奈良市
分類|古民家再生、店舗、リフォーム
「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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