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2024.03.25

スタッフブログ

ヴァナキュラー

輪和建設、大工の國分です。

前回ヴァナキャラーという言葉を使いましたが、それについて深掘りたいと思います。

 

まずそもそも、「ヴァナキュラー」ってなんぞというところですが、それは「気候風土に適した」といったところでしょうか。

 

例えば日本の家屋において、屋根に勾配があり、軒先が出ているのは、雨から建物を守り、夏の暑い日差しを防ぐという、まさしく日本の気候に適したものであり立派なヴァナキュラー建築と言えるでしょう。他にも風の強い地域で建物の周りに防風林を植えたり、台風が多い沖縄では家の周りを塀で囲ったりといった具合です。

 

また、風土面においては、例えば昔は冠婚葬祭は家でやるものでしたので、部屋のサイズを可変できる四間取りなどの平面プランはまさしく風土に適したものと言えるでしょう。他にも赤土がよく取れるエリアでは、赤土を用いた土壁が使われたり、漁師街の厄除けの文化として家をカラフルに塗装したり等です。

 

魅力的な街並みを作るには、皆が同様なデザインに集約する必要があるのですが、その時に集約するためのキーとなる考え方がヴァナキュラーだと思います。

 

特に気候に対しての観点は、いくら技術が発達して、汚れない材料ができようと、断熱性能が上がろうと、外してはならない観点だと思います。

 

しかし、風土に関してはあまり考えなくてもいいような気もします。

というのも、私がヴァナキャラーに着目しているのは魅力的な街並みを作るには同様なものの集積を作る事が必要であり、そのためには、皆が共通して有する考え方が必要と思っているから。

つまりは、最近のいろんなところにいろんなデザインができ、チグハグな街並みになる事を良しとはしたくないわけです。

 

しかし、風土という観点にたったとき、

昔はその場にあるもので作らざるをえなかったけど、今は時代的に色んな場所で色んな材料使えるので、バラバラでチグハグな街並みこそが風土に適したものであるということもできてしまうのです。

 

結局はどこまでを風土に適したモノと捉えるかの匙加減は恣意的なモノになってしまう。

そういうのは私的には実に微妙なわけです。

 

ヴァナキャラーは素晴らしい考えでありますが、それだけでは、魅力的な街並みを作るための考えとしては、今一つ。

 

サイトスペシフィックであるかどうかという視点をつけ加えることが、もっとも重要であるかもしれません。

 

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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