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2023.05.19

スタッフブログ

古民家ブログ

限界耐力計算

設計の小林です。

 

先日、設計のみで限界耐力計算の勉強会を行いました。

 

建築物を木造とする場合は、
・階数が3以上
・延べ面積が500m2を超える
・高さが13mを超える又は軒高が9mを超える

 

上記のうち、いずれかに該当する場合にのみ構造計算が必要となります。
なので、弊社が手掛けているような木造の住宅は殆どが上記の規模に該当しないため、本来は構造計算を行う必要はありません。
構造計算を行わない代わりに仕様規定という、構造耐力壁や仕様、耐久性に関する規定に合致させる必要があります。

 

弊社が手掛ける在来工法の新築では、それのみでは、柱・梁の強度、基礎の強度を確認できないので、別途、許容応力度計算を行っています。
この許容応力度計算も上記の構造耐力壁や仕様、耐久性に関する規定に合致させる必要があります。

 

建築基準法では、この「構造耐力壁や仕様、耐久性に関する規定」の中の”仕様”に関する部分に基礎についての記載があります。
簡単に説明しますと、「基礎を設けましょう、柱の下にある土台は基礎と緊結しましょう。」とあります。
しかし、神社やお寺、また古民家の足元を見たことはありますか?
ほとんど、石の上に柱が置いてあるだけです。
基礎はなく、緊結もしていません。
そういった建物が建てられないわけではなく、特別な構造計算を行う事で建築可能となります。
前置きが長くなりましたが、その特別な構造計算が限界耐力計算なのです。

 

合板・筋交いを耐力壁の主要素とした建物は大きな傾きに耐えることができません。
その代わりに、傾かないように壁を多く設けて金物や基礎で地震力を受け止めるつくりです。
一方で、古民家のような伝統的な建築物は、揺れながら地震の力を受け流す性質があります。
そうした性質を他の構造計算では加味できない部分まで細かく評価できるのが、限界耐力計算というわけです。

 

熊本の震災でも、新耐震基準の建物(在来工法)は崩壊していた中、その基準に適合していない、伝統工法の家がすくっと立っていたそうです。
この調査を期に古民家の耐震診断でも限界耐力計算を用いた取り組みが進められてきました。

 

古民家の現場調査で様々なお家をみさせていただきますが、今となって数式で解かれた強さが、
数百年前の大工さんの知識と経験によって生み出されていたことに感動します。
昔の知恵を活かしながら、新しい知識も取り入れながら、お家を次の世代へ残していくお手伝いが出来ればと思います。

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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