2023.02.19
スタッフブログ
歩きたくなる道
輪和建設、大工の國分です。
美しい風景の中の住まい学を読んでます。
その中で、道に焦点が当てられた話がありました。
車社会となった現代では、道とは人やモノが行き来する公共の空間という、味気ないイメージが強い…かもしれません。
しかし、江戸時代まで遡れば、参勤交代の制度やお伊勢参り、金毘羅参り、八十八ヶ所参りなどの巡礼の習慣などが後押しし、道沿いには宿場町が生まれ、旅行く人々の為に、道に面しては様々な店が並び、そして道に開かれた縁側は休息の場となったそうです。
日本には「雨宿り」という言葉がありますが、お店の軒先であったり、民家の玄関の庇の下などが道行く人のために機能していたそうです。
まさしく、歩く人の為の空間です。
車がないのですから当然といえば当然ですが、昔は今と比べて道と建築の距離が近く、建築が道の空間を作るという意識も強かったのかもしれません。
今は建物の敷地に面する道の幅は4m以上ないといけないとなっています。救急車などの車両が入れないとまずいからという事ですが、道が歩く人の為の空間から車の為の空間に切り替えていかれる現状は少し悲しいものです。
旅をしていて、美しいと感じる街や集落というのは、意外と道幅が狭いものではないでしょうか。
旅をする時は歩きますしね。
車、自転車、徒歩。
色々な移動方法がありますが、このとき移動速度が大きく変化し、そして見える景色も大きく変化し、そこに求められる道の機能も大きく変化します。
車優先だったら、軒先の雨宿りとか必要ないですもんね。
そして急な大雨で軒先で雨宿りした時に出会いが生まれるなんてこともないわけです。
今の時代は、住宅街であっても道は車の為の空間です。
せっかく、その土地に住み、人生の長い時間を過ごすのですから、生活の空間を家の中で完結させてしまうより、家の外に出て歩いてその街全体を生活の空間とした方がより充実した暮らしに繋がると思います。
しかし、その道は車の為の空間。
残念ながらあまり歩きたいと思えないですね。
道に意識を向け、歩く事に重きを置くことが、大切なのかもしれません。
「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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