HOME  >  ブログ  >  植物の外来種 | 外構の庭木の植栽でも、外来種や周囲の環境に悪い影響を及ぼす樹木は避けることが肝要です。

2022.03.12

スタッフブログ

植物の外来種

輪和建設の阿部です。
我が家のリビングは2階にあり、この季節はナンキンハゼの実を食べに来る野鳥観察が椅子に座った目線で楽しめます。頭に赤いメッシュが入った渋い青色のヒヨドリ、鮮やかな緑色のメジロがよく訪れます。スズメ、イソヒヨドリ、ツグミも常連です。新しい種類の鳥が来る度に、図鑑で鳥の種類を調べて楽しんでいます。

 

軽い気持ちで野鳥観察を楽しんでいるものの、残念ながらナンキンハゼは「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種」で、本来ならば日本に生えていてはならない植物。昭和初期に紅葉が美しいからという理由で奈良公園に植えられたようです。今では外来種駆除の対象として、このところ伐採がすすめられています。アライグマ、ブルーギルなど動物や魚の世界でよく話題にされる外来種ですが、植物の世界でも外来種は大きな環境問題です。

 

日本のガラパゴスと言われる小笠原では、来島者は島に降り立つ前に靴底を洗浄し、外来種を持ち込まないようにする取り組みが行われています。島の外部からもたらされた植物の種や昆虫、爬虫類、動物によって島固有の生態系が脅かされているからです。小笠原母島を訪れた際、外来種の「アカギ」の芽が地面いっぱいに生えているのを見て、これは抜いてしまわないと、と抜きかけたところ、同行していた詳しい方に「下手に抜いたら、残った芽を強い木に育ててしまうことになる。やめておきなさい。」と言われました。外来種駆除は思っているよりも根深く、そして奥深いものなのだと感じました。

 

小笠原のような固有の自然を保持する自然豊かなエリアとは少し趣は異なりますが、奈良にも春日山原生林という古来より自然が保たれたエリアがあります。春日山原生林や奈良公園の本来の自然の姿を取り戻そうと、奈良県ではナンキンハゼの駆除が実際に行われています(詳しくはこちら)。ナンキンハゼの実を食べた鳥が、種をまき散らしていることを考えると、野鳥観察もあまりいただけないですね。我が家の隣のナンキンハゼは、鳥が種を運んで自生したものだと思われます。そのうち駆除対象となり切られてしまうでしょうが、致し方ありません。環境問題を考えるということは、目先のことではなく奥深く広くものごとをとらえるという視点が必要です。

 

外構の庭木の植栽でも、外来種や周囲の環境に悪い影響を及ぼす樹木は避けることが肝要です。ナンキンハゼだけが野鳥観察を楽しめる樹木ではないのですから、周囲の環境にあった実のなる木を植えてあげればよいのです。地域に自然豊かな場所がある場合、地元の自治体の自然環境調査報告書を作成しているケースもあります。こういった情報を外構の樹種提案の際に参考にしたいと思います。

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった木の家づくりをしています。
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