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2023.03.25

現場から

平台鉋について

 

輪和建設の森下です。
前回からの続きで、今回は平台鉋について掘り下げて書いてみようと思います。

今では、電動工具や製材機の精度などの発達により、鉋は最後の仕上げで使われることがほとんどになっています。しかし、それ以前は、荒しこ、中しこ、上しこと製材段階で鉋を使い分けていました。

主な違いは鉋のサイズと鉋台の調整の仕方にあります。中しこ以上では主に使われるのは寸八鉋と呼ばれる、鉋の刃幅が1寸8分ある鉋を使います。それに対し、荒しこは鉋の刃を大きめに出して使うため、削るときの抵抗が大きくなります。そのため寸六鉋という、鉋の刃幅が1寸6分のものを使います。
次に違うのが台なのですが、荒しこは大まかな平面を作るのが目的なので、台の下端を真っ平らな状態にして使います。それに対し、中しこからは台の3点だけをつけてあとは少し削って当たらないようにしてやります。そうすることで、材料の細かな段差などの影響を極力小さくし、材料の平面を出しながら、仕上げていきます。

鉋というのは鉋刃、裏金、鉋台の3つを合わせて使うのですが、この3つをちょうど良い加減で調整するのがとても難しいです。逆に言えば、この3つを完璧な調整具合にしてしまえば、どんな人でもテレビで見るような数ミクロンの削り屑が出せます。

特に鉋台の調整が難しいです。木には広葉樹と針葉樹がありますが、この2つで台の仕込み角度や、刃先の角度が変わります。

表馴染みと呼ばれる部分は角度と刃先の角度を変えることで、堅い広葉樹には刃がかけにくいように、柔らかい針葉樹には、薄く削れるようにします。ただ、台の角度を頻繁に変えることはできないので、刃先の角度を変えて材料の種類に対応していきます。

刃を研ぐのにも、いろいろとコツがあります。刃物の刃先は真っ直ぐに研がないといけない、とネットでよく書かれてるのを見かけるのですが、それは刃幅よりも狭い材料を削るときのみの話です。家の中で考えたら、回り縁や幅木くらいです。他の化粧梁や柱、建具枠、窓枠、カウンター材などは刃幅よりも広いことがほとんどです。そのような材料をまっすぐに研いだ鉋で削るとほんのわずかにですが段差ができます。これを鉋枕と言ったりします。しかし、これだと手触りが悪くなってしまいます。これを無くすために、こういった材料を削る際は、刃先を少し丸く研ぎます。こうすることで、台に入れた時に刃の端が台から出ず、中央部分だけが台から出るので鉋枕が立ちません。このように研ぐことを、「ケチリンに研ぐ」と言います。これを知ってるだけで化粧材の仕上がりがグンっと上がってくるのではないかと思ってます。

いかがだったでしょうか。テレビなどで見かけることもある鉋ですが、大工さんたちは何気なーく使ってるように見えますが、結構奥が深かったりします。僕自身も鉋がけは得意な方ではないので、まだまだ頑張らないとなのですが、、、笑

次回は鑿について書いてみようと思います。

 

 


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