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2023.07.10

古民家ブログ

昔の知恵

設計の小林です。

 

先月末の業者会の研修旅行で知多半島に行きました。

どうしても出かける先々で古民家が気になります。

奈良でよく見る古民家の外観は、南北に縁側、東西は縦方向に板張
この板を屋根まで伸ばすか、一部漆喰にするかといったところが多いと思います。

 

知多半島周辺では、下見板張りという

板を横方向に張り上から桟で押さえる納まり(下見板張り)が多いんだなぁと思っていたら

ところどころに縦桟の間に40㎝ほどの短い横桟があります。

調べると、この横桟の部分には、壁から板壁を引っ掛けるためのL型の金物が出ています。

近くの写真を撮り損ねたので引用させていただきます。(引用:https://mawada.exblog.jp/12664750/)

 

雪が多い地域はこの板壁を冬に雪から守るために取り付けるそうです。

知多半島は、海に近く劣化が早いので、取り替えしやすい工夫していると思われます。

 

似た見た目の板張りの伊勢地域では、

強い雨風の吹きこみを防ぐために、二階部には「張り出し南張り」と呼ばれる外囲いが設けられています。
また、一階の軒庇の先端には「軒がんぎ板」という垂木の鼻隠しがすえられ建物を傷めない工夫がされていました。

 

見た目は全く異なりますがとてもユニークだと感じた高知の民家もご紹介します。
蔵には何段も、母屋は妻側に数段「水切り瓦」という瓦装飾がされてるところが多くありました。


この水切り瓦は、雨や日差しから外壁を守る機能があり、つけ始めたところ、技術や費用も掛かるため段数が多いほど、富の象徴ともなっているそうです。
瓦の波打つ意匠がフリルを見にまとったようでした。

幼いころ夏になると行っていた曾祖母の高知の山の方の地域もこのような水切り瓦があったのですが、古民家の仕事をさせて頂くようになり気が付きました。

 

 

地域によって特徴が現れる街並みとその地域での職人さん達の工夫は本当に興味深いです。

 

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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