2026.08.31
設計から
平面図だけで家を作れた昔の大工さん
輪和建設の國分です。
昔の大工さんは、今のような詳細な図面がなくても家を建てていた。
そんな話を聞いたことはありませんか。
もちろん、まったく図面を見ずに建てていたわけではありません。ただ、今の住宅のように細かな寸法や納まりまで描かれた図面がなくても、建物をつくることができたのは事実です。
では、なぜそんなことができたのでしょうか。
その理由のひとつが「比率」です。
昔の日本建築では、建物のさまざまな寸法が、ある程度決められた寸法や比率をもとにつくられていました。
たとえば、柱と柱の間隔。
建具の大きさ。
天井の高さ。
畳の大きさ。
窓の位置や屋根の形。
これらがバラバラに決められていたわけではなく、それぞれが関係し合いながら建物全体の寸法を決めていきます。
つまり「ここは何センチ」と一つひとつ覚えるというよりも、「ここがこの寸法なら、次はこの寸法になる」というように、比率や決まりごとを理解していれば、建物全体を組み立てていくことができたのです。
日本の木造建築には「モジュール」という考え方があります。
代表的なのが「畳」です。
畳は地域や時代によって大きさが違いますが、部屋の大きさを畳何枚分と考えることで、柱の位置や建具の寸法なども自然と決まっていきます。
一つの基準から、次の寸法が決まっていく。
今のようにパソコンで図面を開いて、寸法をひとつずつ確認するのとはまったく違う方法です。
そして、昔の大工さんはこうした寸法体系を頭の中に入れ、さらに木の性質や現場の状況を見ながら、実際の建物へと落とし込んでいました。
代々受け継がれた長年の経験の中で、「この高さなら、この幅が美しい」「この屋根なら、この軒の出がちょうどいい」といった知識が蓄積されていったのでしょう。
だから昔の家を見ると、美しいと感じたり、昔の集落を見ると同じ建物は一つとしてないのになぜか全体的に街並みとして美しいということになります。
柱の太さ、窓の大きさ、天井の高さ、屋根の形。
それぞれが単独で存在しているのではなく、全体のバランスの中でつくられているからです。
現代の家づくりでは、比率だけでは対処できないことが山積みです。構造計算や断熱性能、気密性能など、数字で確認できることがとても重要になっていますし、家づくりを取り巻く法律も日に日に厳しくなっています。
それらは大事なことであり、安心安全な家づくりをする上では不可欠な要素です。
しかし、図面を細かく描く技術が発達した今だからこそ、逆に「少ない情報から全体を読み取る」という昔の技術に学ぶことも多いのではないでしょうか。
人々はより良い暮らしをより簡単に手に入れる方向に進化してきました。今、家づくりにおいては細かな数値を細部まで定めることで安心安全を手に入れることが出来ています。しかしそれに美しさを加えようとするとかなりの労力がかかります。はたまた、手間を省くにしても、天井高さや建物の高さは固定になったりします。建物や部屋の平面としての大きさは物件ごとに異なるのに高さの寸法は固定。それではすべての方に感動できる美しい家を届けることはかないません。すべてを数値でデザインするのではなく、比率にゆだねる要素を考案しても良いのかもしれません。(高さ寸法が変わると、工場での規格生産が難しそうなので一般的にはどっちみち安くはならないのかも…弊社は手刻みです)
「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
奈良・大阪・京都他で注文住宅の新築、リフォーム、古民家再生、古民家リフォームの施工事例はこちら↓


