2025.02.18
スタッフブログ
軒の出について

輪和建設の國分です。
さて、家を建てるとき、みなさんはどこを重視しますか?
間取りやデザイン、収納の多さ…いろいろあると思いますが、「軒の出」 について考える方は少ないのでしょうか。
最近では、凹凸を減らして、とにかくシンプルにするデザインが流行ったりしたため、軒の出のない家がちらほら見受けられますが、昔の日本の家は軒の出が深いし家ばっかりだし、今井町などの風致地区においては、軒の出の長さを定めたりしています。
意外と重要なのです。
何故か。
実はこの 「屋根がどれくらい外壁からはみ出しているか」 というのは、家の快適さやメンテナンスのしやすさにとても影響します。
なので今回は、軒の出のメリットや、どれくらいの長さがベストなのかをお話ししていきます。
STEP1:軒の出は何のためにあるのか
「そもそも軒の出って何のためにあるの?」と思うかもしれません。
大きく分けると、こんな役割があります。
1. 雨や紫外線から家を守る
軒の出がしっかりあると、雨が直接外壁に当たるのを防いでくれるので、外壁の汚れや傷みを抑えられます。特に、最近の家は窓のサッシが薄くなってきているので、軒が短いと窓枠の劣化が早くなることも。
また、紫外線というのは強敵で、外壁の塗装を劣化させたり、窓からの日差しで室内の床が色あせたりする原因になります。軒があることで、このようなダメージを軽減できるということですね。
2. 夏は涼しく、冬は暖かくなる!?
「軒の長さで家の中の気温が変わる」のです。軒の出があると、夏は直射日光をカット、冬は低い角度の太陽光を取り込めるので、エアコン効率もアップします。ちなみにこのような自然の力を室内環境の改善に利用する建築のデザインをパッシブデザインと言います。昔の家は家電製品なんてものはなく、いかに自然の力を去なし活用するかが重要だったので、その地域ごとに住宅のデザインは一定の形状に集約されていきました。ヴァナキュラー建築ですね。
また最近は、省エネ住宅が注目されていますが、軒を上手に設計することで、光熱費の節約にもつながるので、全く過去のモノではありません。
3. 見た目も良くなる!
軒がしっかり出ていると、建物に奥行きが生まれて、デザイン的にもバランスがよくなります。和風・洋風問わず、「軒の出」が美しさを決めるポイントのひとつとなります。
STEP2:軒の長さ、どれくらいがベスト?
じゃあ、「軒の出は長ければ長いほどいいの?」と思うかもしれませんが、実はそうでもありません。短すぎてもダメだし、長すぎると風にあおられたり、雪が積もる地域では負担が増えたりするので、ちょうどいいバランスが大事です。
目安としては60cm~100cm。
・60cmくらい→風が強い地域や雪が多い地域にオススメです
・80cm~100cmくらい→雨が多い地域、日差しをしっかりカットしたい地域にオススメ
特に日差しをコントロールしたい場合は、地域ごとの太陽の角度を考えて決めると良いでしょう。緯度によって太陽高度は変化します。
STEP3:まとめ
「軒の出」は普段はあまり意識されない部分かもしれませんが、実は住み心地やメンテナンスのしやすさ、さらには建物や街並みのデザインを決定付けてしまう重要ポイントなのです。
・雨や紫外線から建物を守る
・夏は涼しく、冬は暖かくする効果
・外観のデザイン性もアップ
・長すぎず短すぎないバランスが大事(60~100cmが目安)
ちなみに個人的には夏は涼しく冬は暖かいがイチオシです。
季節による太陽高度の変化を上手く活用し、
夏は太陽光を遮り、冬は太陽光を遮らず室内に取り込んでしまうなんて秀逸すぎますね。
「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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