2019.11.23
社長ブログ
生活してみて
私の家の洗面所です。
漆の職人さんにお願いしてカウンターを黒漆で仕上げて
もらっています。
普段は文化財や寺社の仕事を主のしている職人さんで個人
宅から依頼されるということは珍しかったようで大変喜ん
でくださいました。
完成した折も手土産をもって見学に来ていただきました。
下地の木はきれいな桧の板ですが、黒い鏡のような仕上げ
になっています。
ただ、隣に脱衣所兼洗面があるのでこの空間は今はほぼ観賞用
になっています。
何度か手を洗ったことがある程度です。
2面の壁に鏡を付けたのですが、いきなり空間が広がったように
感じます。
こちらはトイレのカウンターですが、ケヤキの板に拭き漆という
仕上をしてもらっています。
木目がきれいに見えています。
普段の生活ではトイレは毎日のように使いますが、洗面は前述の
ような状態です。
あまり活用しないところに高価なものが使われているわけですが、
旧家の立派な家、特に農業をされている家では立派な玄関があるに
もかかわらず、正面玄関から出入りすることは少なくほとんど勝手
口や裏口から出入りしておられることがよくあります。
また、床の間のある和室などもそうです。
一番お金のかかっているところが、めったに使われることがないと
いうのが実情です。
現代では床の間のある和室などはあまり造る人はいません。
玄関は当然、毎日使います。
勝手口から出入りしている人などいません。
その点では昔の家というのは不思議な家ですね。
ふと、我が家の洗面所も同じようなものかもと思いました。
そういえば昔の家は、床の間の落とし掛けの裏側は壁(左官)の仕上
げをしないでお引き渡しをすることがありました。
家はすべて完全に造ってしまうとそこで終わってしまう、というので
わかりにくいところで仕事を残したのですが、今ではそんなことをす
ると手直し(クレーム)になってしまいます。
北東の角にある部屋の出窓です。
なかなかいい眺めです。
市内ではどこの窓を見ても住宅や道路ばかりかもしれませんが、
山や池が見えるというのは田舎ならではです。
北の方を見ると法輪寺の五重塔が見えます。