2022.05.30
古民家ブログ
社長ブログ
古民家 必ずある差鴨居と大黒柱
古民家では必ずと言っていいほど使われている「差鴨居」
現代の家では厚さ3cmから4cm程度の鴨居(薄鴨居)が
使われています。
現代の家はその上に構造材である梁があります。
薄鴨居は柱間が長くなると真ん中で垂れさがるのでその上
にある梁から吊り束で鴨居を吊っています。
しかし、差鴨居は反対に上からの荷重を支えています。
その昔、家では間仕切りも外周も大体1間(1820から1980)
間隔で柱が建てられていました。
柱が多いと荷重をたくさん受けられるので家が安定します。
しかし広い開口部を設けるには柱を取ることになります。
そうなると上からの荷重を支えるものが必要になります。
そこで柱を省くために考えられたのが差鴨居です。
内法材(鴨居)であると同時に構造材でもあります。
大体、差鴨居の下に溝加工をして建具を立て込むように
なってますが、細い木を打ち付けて溝をつくってあること
もあります。
付け樋端(つけひばた)と言われます。
差鴨居は50cm~60cmくらいの材料が使われています。
しかし実際はこれほど大きな材料が必要なわけではないです。
構造材としての梁は2間間隔でも30cmくらいあれば持たせる
ことができます。
これは見た目や風格も大事だったでしょうし、壁の少ない造り
なので柱との接点を広くして揺れに耐えるように考えられたの
だと思います。
差鴨居は構造材であって軸組を組み上げるときにホゾ差にして
いますから、後から組み込むことはできません。
これが現代の鴨居とは違うところです。
こちらは「大黒柱」
これも古民家を象徴する構造材です。
古民家特有の「田の字」の間取りの中央に建つ柱です。
大極殿の柱を大極殿柱ということから大極柱が「大黒柱」
になったとか、七福神の大黒様は富をつかさどる神から
「大黒柱」、国の中の柱、大国柱が「大黒柱」になった
などいろんな説があります。
当社は新築の家にはなるべく家の中央にこの「大黒柱」
に相当する柱を建てるようにしています。
この大黒柱も構造的な意味だけでなく家の風格を上げる
ための構造材です。
大黒柱には四方から梁が掛かることになり断面欠損を
しますが、構造としてはここまで太い柱(40㎝~50cm角)
は必要ありません。
当社では7寸から8寸(21cm~24cm)くらいの大黒柱が
多いです。
古民家には現代の家にはない独特の雰囲気があります。
古民家を購入して住もうとする人もいれば、後を継いで
そこで暮らそうという人もいます。
一方、やむを得ず解体に至る古民家もあります。
無理をしてそこで暮らす必要はないかもしれませんが、
残すことができるのは今しかないかもしれません。
「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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