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2019.02.8

スタッフブログ

年代ごとの構造

2019.02.08

輪和建設の西川です

色んなリフォーム・リノベの現場に行きますと、年代ごとに構造が異なります。

結構面白いです。ざっと書きますね。

 

築70年以上はほとんどが石場建ての土壁、伝統工法です。

築60年でも上記の場合が多いですが、たまに石場建てではなく、布基礎がある場合、火打ちがある場合があります。

一度リフォームした際に、在来工法として大規模改修をしたのでしょう。

築50年ほどになると、在来工法の考え方が取り入れだし、部分的な布基礎がある、お家を目にします。

もう少し築年数が浅いと、土壁と筋違を併用していたり、火打ちや金物も使っていたりします。

さらに築年数が浅いと完全な在来工法や2×4工法、軽量鉄鋼造、鉄骨造、RC造と様々な構造のお家があります。

築50年あたりの年代が一番、伝統工法と在来工法が混在し、補強する場合に悩むところです。

悩む理由は、それぞれの工法により力の伝わり方が違うからです。

どうしてこのように工法が変わったのかといいますと、建築基準法が制定され、いままで大工さんの勘や経験から作られていましたが

役所が基準を設けこうした工法でしたほうが良いと指示したことに始まります。

初めは今の様に厳密にこうしなければならないといったこともなく、部分的な混在が発生したようです。

在来工法が広まったのは、関東大震災を受け、東京の学者さんが固く強く固めて壁を多く設ける方針を進めてきたことからです。

基準を守ったり申請業務をするがゆえに大工さんが経験から、構造を考えるということはなくなり、資格を持った建築士が考えるようになりました。

今ではすっかり、建築基準法により石場建ての申請はかなり難しいものとなっていますし、それを確認できる審査機関も限られてしまっています。

ゆえに伝統工法の構造の仕組みを理解している人も少なくなってきているのだと思います。

それを受け、京都の学者さんは、伝統工法の研究や構造計算の仕方など日々研究しています。

今は、限界耐力計算でしか構造強度を確認することができませんが、少しづつ計算方法の簡易化も図っているそうです。

また、伝統工法による仕口の技術を無形文化財にする動きもあります。

いつになるかわからないですが、伝統工法も在来工法と同じように選択できる時代が来るかもしれません。