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2022.05.15

スタッフブログ

輪和のSDGs

ルールとガイド

輪和建設の阿部です。
6月5日に奈良市の平城宮跡朱雀門広場にて青年会議所主催のSDGsランドというイベントが開催され出展することになりました。子どもたちにSDGsに親しんでもらおうというイベントで、輪和建設のブースでは家づくりで実際に使っている国産の木でペン立てをつくってもらう予定です。詳細はチラシが出来上がりましたら、あらためてホームページにて掲載します。小学生くらいのお子様で木工体験に興味がある方はぜひ当日会場においでください。(材料に限りがありますので、先着順になります。ご了承ください。)

 

出展するにあたり、どのような内容にしたらよいのか悩んだのですが、考える中で、輪和建設で働く前に、「エコツーリズム」に関わる仕事をしていたことを思い出しました。全くの畑違いなのですが、環境問題を考える上での私の原点になります。エコとツーリズムは自然環境と観光という相反するものです。これらをどのように共存させるか、ふつうの観光とエコツーリズムの違いは何なんだ、と関係者で悩みぬいたことを思い起こしました。

 

エコツーリズムは、自然の景色や動物を売りにする観光です。野生動物や植物、めずらしい地形や自然現象、風景を見たり感じたりするもので、自然環境あって成り立つ観光です。ところが、現地の観光業者からは、自分たちが自然に配慮して観光客を案内していても、そうではない業者は奥地に分け入ったり、餌を仕掛けて野生生物を見せるなどの生態系を壊すような行為をしており、何も知らない観光客はそちらのほうが楽しそうだと行ってしまう。自然に配慮ばかりしているとお客さんが来ないから損をする。という声が聞かれました。一方でそもそも人間の手ははいるべきではない。観光なんていらない、という学者さんたちもいます。そのような中で自然と人間活動をどう共存させて持続させるか、観光客・観光事業者・自然保護団体・行政といった様々な関係者とともに解決しなくてはいけない問題でした。

 

今でもその瞬間を覚えていますが、現地視察を重ね幾度となく専門家同士が意見を交わした後、エコツーリズムって結局何だと思う、と事務局レベルの私にも意見を述べる機会が与えられました。環境省の役人たちの机が並ぶオフィスの一角で、6人くらいの事務方が集まっていた打ち合わせの場でした。私は若くて青い観光研究者という立場で、「自然環境から人間が得ることは多く、その自然を守るという気持ちも自然を知るからわいてくるもの。そういった意味でエコツーリズムは自然を守るためにも必要なものだ。」というようなことを言いました。今思えば答えにもなっていないのですが、ひとりひとりの意見をじっと聞いていた、当時エコツーリズム担当の環境省の室長が、

「つまりエコツーリズムに必要なものは、ルールとガイドだね」

と、ボソッとおっしゃいました。その瞬間、「なるほど!」と心にすっと解け入りました。

ルールとは、観光事業を自然相手に行う上で守るべき取り決めのことです。例えば、ホエールウォッチングの船とクジラとの距離の取り決めや、決められたトレッキングルートしか通らないといったものです。このようなルールがはっきりすれば、観光事業者だけではなく観光客にも知らせることができて、ルール違反をするような業者もなくなります。

ガイド(案内人)は、観光客がうっかりルートを外してしまわないように同行するというルールを守ってもらう働きをする役割もありますが、もうひとつ重要なのは体感してもらう自然がどんなものなのかを解説することにあります。単に山を歩くのではなくて、珍しい植物の解説をしたり、野生動物の足跡からその動物の生活や様子を想像してもらえるような工夫です。観光活動に付加価値を付けることや、観光客に自然をより理解してもらうだけではなく、この自然を守るんだという気持ちも醸成することが期待できます。環境問題の取り組みは、このルールとガイドの2つがどの分野でも共通すると思います。

 

話は長くなりましたが、SDGsはまさに「ルール」を示したものだと思います。持続可能な開発目標を明文化して、多くの人がその内容を共有することが大事です。そして、今回のSDGsランドでの出展にあたっては、「ガイド」の役割を果たせればよいなと思っています。国産の木はどこから来ているのか、国産の木を使うということはなぜ良いのか、天然乾燥材はなぜ良いのか、家づくりにどんな職人さんたちが関わっているのか、子どもたちにきちんと伝えて、実際に木に触れてもらい作品をつくってもらおうと計画しています。

 

ちなみにエコツーリズムは豊かな自然環境における観光にとどまらず、地域固有の文化や風習も対象としたものとして「エコツーリズム推進法」にまとめられました。環境問題に向き合った思い出深い仕事です。

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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