2018.07.26
社長ブログ
断熱の今と昔
昔の日本の住まいづくりは高温多湿な夏から人と家を守る
ことに重点が置かれていました。
太陽の熱を遮るために藁葺きや萱葺きの屋根が発達し、太陽
の熱を室内に入れないように葦簀やすだれが利用されました。
また庭には南面や西面に落葉樹を植えて夏は日射を防ぎ、冬
は熱を利用するようにしました。
家の中には通り土間のように風の道をつくり、開口部も目いっ
ぱい作られています。
外壁も土壁や板張りにして熱を遮断するように造られていました。
和室の間にある欄間も空気の流れを確保するものです。
一方、冬は囲炉裏や火鉢で人がいるところだけを温める採暖とい
う方法がとられていました。
日本の住まいづくりは欧米のように自然から身を守るシェルター
のようなものではなく、自然と共生しているのが特徴でした。
しかし、この伝統的な日本の住まいづくりは建築基準法を境に大
きく変わることになります。
不燃材料や防火構造により断熱性や通気性を失うことになります。
そして省エネ法が制定され、断熱化が進みます。
そこへ、アルミサッシやビニールクロスの普及により結露対策が
ないままに断熱化したことで「ナミダタケ事件」などの結露被害が
問題になりました。
その後、改良が繰り返されて現在に至っています。
今の高気密・高断熱の家は冬の寒さ対策に重点を置かれているため、
夏の涼しさだけを取り上げると古民家といわれる家の方が優れています。
この時期だからこそ思うことで、寒くなれば寒くなったでやっぱり暖かい
家がいいとなります。
「夏のこの時期の高層マンションは下層階のほうが上層階より夜になっても
温度が高く、1戸建ての木造住宅はマンションの高層階より温度が低い」そう
です。
マンションの場合、高層階のほうが屋上に近くて暑くなりそうですが、地表面
の温度の影響を受けるからでしょうか。
木造住宅のほうが涼しいというのは、コンクリートか木造かという構造材の
蓄熱量の違いでしょうね。