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2022.08.10

古民家ブログ

社長ブログ

家を造るための木材、それを加工するための技術と道具

 

ただいま、弊社の作業場では棟梁が墨付けをしています。

上の写真の木は、家の梁に使う材料で材種は杉です。

構造材ですから見えなくなる木が多いのですがもったいない

くらい節のないきれいな木材があります。

ご覧のようにほぼ全体が赤身です。

心材の赤い部分は辺材の細胞が死んで変質したもので大変丈夫でシロアリに強く腐りにくい木材です。

杉は赤い部分だけを選ぶと大変高価な木材になります。

 

業界では杉の木に「源平」という用語を使います。

杉は芯の部分が赤く「赤身」と言われ、それに対して外周部の

白い部分を「白太」と呼びます。

この赤い部分と白い部分が混じった板のことを「源平」と言います。

「源平」というのは昔、源氏が白旗、平家が赤旗を掲げて戦ったこと

に由来しているらしいです。

そういえば「鎌倉殿の13人」で最後の合戦の時にそんな旗を掲げて

ました。

以前は梁にアカマツを使っていたこともあります。

松はこの辺りでは採れなくなったので東北から取り寄せていました。

「松」もいいと思います。

何より強度があります。

古民家では梁はほとんど松です。

ただ、少し暴れます。

暴れるというのは捻じれたり、反ったりするという意味です。

山に立っている木を想像してもらえばわかると思いますが、

まっすぐ立っている松などめったにありません。

一方、杉や桧はまっすぐ上に伸びています。

杉という名は「まっすぐ」の「すぐ」が「すぎ」になったとも

言われます。

 

 

大工さんが墨付けをしています。

墨付けが終わったら手刻みに入ります。

当社では新築の家はすべて大工さんに墨付け、手刻みをして

もらっています。

プレカットに比べると少し効率が悪いですが、やっぱり木を

見ながら刻んでもらった方が安心です。

また数年前から見習の大工さんが入社するようになりました。

墨付け、手刻みができるからというのが主な理由のようです。

このような仕事ならしたいと思うのでしょうね。

私も大工さんの仕事としてはここが一番おいしいのではないか

と思います。

プレカットのように出来上がったものを組み立てるだけでは

自分で造ったという楽しみが半減します。

また誰かがこの墨付けや手刻みをしていかないと伝統的な技術

も廃れていきますし、刻むための道具も必要がなくなります。

 

大工さんの七つ道具というのがあります。

差金、玄翁(げんのう)、鉋(かんな)、鑿(のみ)、鋸、手斧

(ちょうな)、墨坪です。

本来、墨付け、手刻みには必要なものばかりです。

さしずめ現代の七つ道具は

コンプレッサー、インパクト、ガン、押切などになるのでしょうか。

これでは寂しいです。

 

 


「吉野の木を伝統技法で建てる工務店」輪和建設株式会社では、永く健やかな暮らしを求め、自然素材にこだわった奈良の木の家づくりをしています。
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