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2020.02.14

社長ブログ

木材の拾い出し

 

今日は現場監督と設計で材料の拾い出しの勉強会でした。

構造材をプレカットしているところでは必要のないことですが、当社では構造材は設計と現場監督が構造図面をもとに拾い出しをして材木屋さんに発注しています。

どうすれば無駄なく、材料費を抑えられるかを検討するためです。

 

写真は「台持ち継」という木造では一般的な梁材の継ぎ手です。

柱からある一定寸法ずれたところで継手が来ます。

このずれた寸法によっては定尺の材木では長さが足りなくなることがあります。

柱芯々の間で済むなら定尺で済みます。

定尺というのは3m・4mの材料のことです。

しかし継ぎ手が伸びることで4mの材料では届かなくなります。

これが材料費に大きく関わります。

材木代は大体、1㎥当たりの価格で算定できます。

その材木が何㎥あるかで材木代が算出できます。

 

しかしこれは定尺4mまでであって、これを超える例えば5mになると単純に1.25倍ではなく約2倍の価格になってしまいます。

材木は切り出されるときに玉切りといって4mで切断されて山から切り出されるためにこれを超える長さの材木は特注品となります。

これは材木の太さには関係ありません。

 

それならば継ぎ手を柱に芯で継げばいいわけです。

これはできるのですが、柱のところにはさらに直行方向に梁がかかります。

継手にさらに仕口を造ることはできません。

断面欠損だらけになってしまいます。

それならば柱を通し柱にするか、「渡りあご」と言って桁の上に梁をのせ掛ける方法があります。

通し柱の場合、これも柱の断面欠損が大きくなるので太い通し柱が必要です。

そして「渡りあご」では桁の上の梁が載るので床構面に段差ができます。

根太で調整はできますが、梁と桁に段差があるので「火打ち」という部材を取り付けるためにさらに材料が必要になります。

 

いかに効率よく頑丈な構造を造るか、なかなか難しいです。

そこまでこだわるならば写真のような伝統工法がいいのですが、大工手間と材料費は在来に比べるとかなり高額になってしまいます。

素晴らしい技術だと思いますが、必要とする人がいてこその仕事です。

 

余談ですが、現代の家では2階建ては梁や桁を挟んで1階管柱と2階管柱が建っています。

実はこれが耐震上の弱点でもあります。

この部分が変形して倒壊に至ることがあります。

これが通し柱であることが理想なんだそうです。

そうすれば途中で折れることがありません。

昔の家には通し柱にして根太掛けという部材を柱に打ち付けて2階の床を造っている家があります。